手間がかかるけど憧れのデザイン White Over 3TS へ YAMAHA ST 360

Remake

はじめに

YAMAHAの ST 360 国産ビンテージギター。細かい部品に至るまですべてを分解しレストア。ビンテージストラトの風防を再現するために、エイジド(レリック)加工を施しました。塗装は3トーンサンバーストを塗装した上でさらにホワイトで塗装し、レリック加工。エイジド感が現れるデザインとなっています。
ローズウッドのラウンドボード指板、
ビンテージタイプのイナーシャブロック、
ボディーは多ピースのアルダーをハードメイプルでラミネートした構造。この年代の有名ではない国産メーカーのストラトに多い構造です。

しかし、心材がアルダーで、鳴り、作り共に非常に良く、無名メーカーのそれとは明らかに違います。YAMAHAのこだはりでしょう。

ボディー、ネック共に現在の同価格帯ものに比べてはるかに良質の素材、また、乾燥し安定しています。
カスタム塗装と調整を行うことにより新しいギターへと生まれ変わります。

枯れたサウンドもビンテージギターならではの物!
アッセンブリーに関しても、コストダウン、採算重視の現在の機種とは違います。

ネックはやや順反りで調整可能。フレットはほとんど減っていませんのでオリジナルを生かし、すり合わせのみを行います。
指板はラウンドボードで丁寧に作られていますが、ヘッドの形状がFenderタイプではありませんので整形します。

ボディー、ネックの塗装はポリ塗装、全てはがして薄いニトロセルロースラッカー塗装を施します。
有名メーカーカスタムショップの手掛けるレリック加工、中でも人気の3トーンサンバーストの上にオリンピックワイトを重ね塗りしたデザインに寄せ、
更に、独自の方法で塗装の機能を損なわずにダメージを再現したいと思います。

良く見る、「傷を付けただけの新しいギター」との質感や、サウンドの違いにご注目。

注意、この作品はスプレーガンを使用して塗装しています。スプレー缶を使用し塗装する場合はスプレー缶に記載の乾燥時間をお守りください。
スプレーガンよりもスプレー缶による塗装は難しく、コツが必用です。しかし、道具の費用メンテナンスなどを考えるとスプレー缶は大変便利です。

ニトロセルロースラッカー塗装でビンテージ風エレキギターにリメイク!

分解

ピックアップはすべて正常。

ネックの加工

塗装はがし



小型のサンダーで荒削りし、
ヘッドの形状をFenderタイプの形にします。

メイプルの木片を足りない部分に圧着します。




乾燥後、小型の不用な部分を切り取り、
サンドペーパー#80から#400まで仕上げます。

ビンテージ塗装

ポアーステインでビンテージカラーに色付けします。
特殊な方法で順に塗装し杢を描きます。
段階的に塗装することで、仕上がり後に角度を変えて見ると見え方が変わります。
経年による塗装のはがれで付着した、ネック裏の手垢を予めポアーステインで着色します。
 

指板部にマスキングを行い、木部用プライマーを塗布し一日乾燥
サンディングペーパー#400で軽く研磨
ラッカースプレークリアつや消しでネック裏のみ塗装し二日乾燥

経年により塗装のはがれの発生する、ネック裏をマスキング




サンディングシーラーを塗布
更にサンディングシーラーを塗布し2時間乾燥
サンディングペーパー#400で研磨

ラッカークリアを塗布
更にラッカークリアを塗布し二日乾燥


サンディングペーパー#400、#600、#1000で研磨

ヘッド部分とネックの付け根部分のみをコンパウンドで研磨し控えめな艶出し
ネック裏の一部はマッドに仕上げます。







フレットのすりあわせを行います。


最後に細かなダメージをハンドルーターで再現。




ネック裏の良く使う部分が削れた感じが再現できました。
削れた部分にも予め塗装をしてありますので、大切なネックに水分が染込む心配はありません。

ボディーの加工

塗装はがし

ベルトサンダーで大まかに塗装をはがし、
電動サンダーで平面を出し、
小型のベルトサンダー曲面部を削り、

サンディングペーパーで#220、#400、仕上げます。
 

材質はアルダーの多ピース、ハードメイプルでラミネート。
丁寧な整形で、叩くとアルダー特有の響きです。

ニトロセルロースラッカー塗装

ポアーステインでビンテージカラーに色付けします。
木目を目立たせると共に、
継ぎ目を解り難く塗装します。

木部用プライマーを塗布し一日乾燥
サンディングペーパー#400で軽く研磨
ラッカークリアを塗布
更にラッカークリアを塗布し一日乾燥

ワイヤーブラシで磨いてつやを落とします。

マスキングテープを塗装をはがす部分にあらかじめ貼っておきます。
 

サンディングシーラーを塗布
更にサンディングシーラーを塗布し2時間乾燥
サンディングペーパー#400で軽く研磨

サンバースト塗装

ラッカーイエローを塗布
更にラッカーレッドを塗布
更にラッカーブラックを塗布
更にラッカークリアを塗布
更にラッカークリアを塗布

 

次にサンディングシーラーを塗布
更にサンディングシーラーを塗布し1日乾燥
サンディングペーパー#400で研磨
平面が出たことを確認




ダメージを受けた後にサンバーストを見せたい部分をマスキング。


オーバー塗装

ラッカーオリンピックホワイトを塗布
更にラッカーオリンピックホワイトを塗布

ラッカークリアを塗布
更にラッカークリアを塗布し一日乾燥

サンディングペーパー#400、#600、#1000で研磨
コンパウンドで研磨
 

あらかじめ貼っておいたマスキングテープをはがします。
経年による汚れをペイントしビンテージ感を出します。

最後に細かなダメージをハンドルーターで再現。


その他のパーツ

サビ止め加工

ブリッジのパーツ、芋ネジを外しサビを取り除きサビ止めを塗布します。
その他の木ネジにもサビ止めを塗布します。

プラスチックパーツの加工

ピックガード、ピックアップカバー、スピードノブなどのパーツに経年による黄ばみのような塗装を施します。
 

組立て

すべてのパーツを取り付け、調整します。


完成












まとめ

Body Material: アルダー多ピース、ハードメイプルラミネート
Body Finish: Nitrocellulose Lacquer ニトロセルロースラッカー
Neck Material:  Maple
Neck Shape: “C” Shape
Scale Length: 25.5″ (648 mm)
String Nut: Synthetic Bone
Neck Finish: Nitrocellulose Lacquer ニトロセルロースラッカー
Fingerboard: Rosewood Round board
Bridge Pickup: Single-Coil
Middle Pickup: Single-Coil
Neck Pickup: Single-Coil
Controls: Master Volume, Tone 1. (Neck Pickup), Tone 2. (Middle Pickup), 5way Switch
Bridge: 6-Saddle Synchronized Tremolo ビンテージタイプ
Tuning Machines: Kluson Type

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